「仕事は楽しいかね」デイル・ドーテンの中に、経済学者バートン・マルキエルの想定した話しとしてこんなのが載っている。
「仮想のコイン投げ競争を想定する。参加者は1000人。表が出れば勝ち、裏が出れば負け。1000人がコインを投げると、だいたい500人が裏が出て負ける。表が出た500人は、もう一度コインを投げる。7回投げ終わると、コインを投げる人はたった8人になる。そして、マルキエルはこう言っている。このころには、コイン投げの達人たちの目を見張るような能力を一目見ようと、見物人が集まってくる。そして、勝った人たちはお世辞に当惑させられる。彼らはコイン投げの天才だとほめたたえられるのだ―生い立ちを書かれたり、急にアドバイスを求められるようになったり、といった具合に。いずれにせよ、参加者が1000人いても、たえず表を出し続けられるのは、わずか8人にすぎない。」(原文とちょっと違うが)
この本は、主人公?が空港で足止めされ、そこで夜を過ごさなければなくなったとき、出会ったマックスという老人との会話が物語形式で書かれている本だ。
マックスは、かつて夢をもって取り組んだ仕事で失敗し、そして今はある程度安定しているが、活き活きしていない主人公・・・私に、いろいろ話しかけ、質問する。その中でマックスの成功哲学がだんだん明らかになっていく。
本は面白いので、興味のある人は読んでいただければと思う。こんな話もその後で載っている。
(成功するかしないか)「問題は、才能のあるなしでもなければ、勤勉かどうかってことでもない。コイン投げの達人じゃないってことなんだ。 ~中略~ これは 試すことを続けなければならないということだ。そして試すこととは、あっちにぶつかりこっちにぶつかり、試行錯誤を繰り返しながら、それでもどうにかこうにか、手当たり次第に、あれこれやってみるということだ。頭にたたき込んでおいてほしい。何度となく表を出すコインの投げ手は、何度となく投げているのだということを」
「目標を持つ」ってすごく大事なことだと思う。ドジャーズの大谷翔平さんなんかを見ているとつくづく思う。一方で、そこまで強烈な目標を持つのは簡単ではないと思う。将来像を描き、バックキャスティング的にそこから逆算し、そこにたどり着くためにすべきことを明らかにする。成功者の発想はこうなっている、という人もいる。
でも、多くの人は、まずこの強烈な目標を持つことができていないように思う。私自身も、そこまでの強烈な目標を描いて、邁進してきたかはあやしい (笑) 中学生の時に読んだ三国志に触発され、高校生の時に経営コンサルタントなる仕事があるということを知り、運よくそういった職業についている。(昔の自分が持っていたイメージとはだいぶ違うが (笑))強烈な目標のおかげというより、様々なことや人、もっと言えば運?に恵まれていたような気がする。
多くの強烈な目標を持ち得ていない人に向けて(自分も含め)、、、目標を探すという発想も必要だと思う。でも、時間は刻々と過ぎていく。目標を持つように言っても、残念ながらすぐに出てこない人が多いと思う。
「仕事は楽しいかね」は、経営戦略で言うと意図的なスタイルではなく、創発的なスタンスをとっている。経営戦略的には、ミンツバーグ他の主張するところに似ている。現場の試行錯誤や環境の変化に合わせて、意図せず自然発生的に生まれてくる戦略のイメージに近い。この本では人生戦略だけど。
「違うものがよりよいとは限らない。だが、よりよいものは必ず違っている。」。
「試してみることに失敗はない」
「人生は進化だ。そして進化の素晴らしいところは、最終的にどこに行き着くか、まったくわからないところなんだ。」
という言葉も出てくる。
そもそもうまくいかない、失敗したというのは、自分の目標やイメージと違った結果が出ると、そう思う。そうして、人は、落ち込んだり、あきらめたり、色々ネガティブに考える。でも、それが実験だとしたら、今までにやったことのない実験を通して、新しいデータが収集できたことになる。つまり失敗ではなくなる。
ホンダ創業者の本田宗一郎さんの言葉にこういったのがある。
「私のやってきたことの99%は失敗に終わった。しかし、その1%の成功が、今の私を築き上げたのだ」
「理屈はあと。まずは動いてみることだ。動けば必ず何かにぶつかる。それがヒントになる」
本田宗一郎さんは、きっとコインをたくさん投げ、結果コイン投げの達人と呼ばれるようになったのだと思う。
我々は、人生の初心者とも言えるように思う。2度目、3度目の人生という人はいないと思う。(輪廻転生を信じていれば別だが)その中で、なんでも最初からうまくいくことばかりではないが、すべてのことは「新しいことを試している」と思えば、いろんなことが面白くなる。私も、知らない土地を旅行するのは楽しい。そして、その土地のおいしい料理とおいしいお酒を飲むのが楽しい(それば別の話?)
話を戻して、、、でもここで大事なのは、そういった発想を持つことだと思う。つまり試しているという発想でなければ、漫然と様々な経験をやり過ごすことになる。ちょっとした新しい試みをしないことになる。達人は、何度も試行錯誤している人、その前提は何度もコインを投げている人。

コメント