法人営業(BtoB) ~商品知識より大事なもの~

 前にも書いたと思うが、私は学生時代に営業は自分に向いていない。だから営業だけはするまい!と思っていたが、結局営業をすることになった。
 そんな自分も(コンサルタント・研修会社だが)営業~営業所長を12年間やって、コンサルタント・研修講師に。
 今も、時々法人営業の人たち(マネージャー含め)への研修・コンサルテーションをしている。営業に向いてないと強く思っていた、そんな自分でも紆余曲折しながら、数々の失敗をしながらやってきた。だから、逆に言うと、ほとんどの人は、私以上に資質を持っているのだから、それに加え私が学んできたことを加えれば、きっとうまくいく(私でさえもできたんだから)、トップにまでなるかはわからないが上位には入れる、と信じている。
 ただ、それなりに意図して努力する必要はあるかもしれない。一方で、私が営業をしてきた会社で、途中でうまくいかずに、挫折した人(同期や後輩)も数えきれないくらい見てきた。だからこそ、そうならないためにも、今回はその中の一部だけだが伝えたい。

~商品知識よりも大事なもの~
 一口に営業と言っても様々な営業がある。根っこの部分は同じだとしても、業界・ビジネス・会社によって結構違う。私は、成果を(継続的に)上げている人と上げていない人は、原因と結果の法則のように、基本的にやっていることが違うと思っている。または、同じことをしていても、そのやり方が違う。これは各種のスポーツ競技等でも同じだと思う。だから、お客様の会社で営業の仕事(営業支援等)をする場合の多くは、その仕事がどんな内容の仕事であっても、ヒアリングをさせてもらい、このビジネスにおける営業で、何をすることが成果につながるのかを見極めようとするようにしている。そのために、その組織の営業のハイパフォーマー(マネージャー含め実際に成果を上げている人たち)にインタビューをさせてもらう。
 それが少し形を変えたのが、成果を上げる営業についての行動リスト・スキルチェック的なものをつくったり、法人営業向けのガイドブック的なものをつくったりする仕事になる。ここでは細かい話はしないが、そういった中で、営業活動上でしていること(やり方)やそれを効果的にする方法他を聞いていく。加えて、私はハイパフォーマーに、「この会社で営業をする上で何が一番大事だと思いますか?」と必ず聞くことにしている。そうすると、商品・サービス知識と回答する人は、まったくいない。

 一方で、私は法人営業経験が浅い人たち向けに研修をすることがある。そういった研修に参加する人の多くが、自分はまだ商品・サービス知識がわからないので、成果をあげることができない。的な発言をしたり、そう認識したりしている人が多くいる。
 そして、ケース実習やロールプレイングなどをすると、数少ない自分の知っている商品・サービスを売るために必要な情報をヒアリングで収集しようとする。・・・それがお客様にとって本当に必要なものかどうかに関わらず、、、

 先ほどの話に戻すと、ハイパフォーマーの多くが、法人向けの営業で最も大事なことは、①考え方に関すること・・・物売りの発想ではなく、顧客の法人組織に貢献しようとする姿勢を持つことが大事とか目的意識や成長欲求というようなこと、そして②コミュニケーション関連のスキルや行動に関すること と回答する人が圧倒的に多いと思う。
 実際に、私が営業をしていた組織でも、売れている人=詳しい人 売れてない人=詳しくない人 ではなかった。まったく関連がないことはないだろうが、相関があるとは言えないと思う。

 実際に、今は組織的に商品・サービス知識に詳しくない営業担当者をサポートする体制がとれている組織も多い。知識不足を補う手立てはたくさんある。そして何よりも、いくら商品・サービスに詳しくても、それがお客様にとって興味・関心があるものでなければ、お客様は話を聞いてくれない。もっと言うと、お客様は、自分の成果を上げるために売り込んだり、お願いしたりする営業とは、いくらその人が商品・サービスに詳しくても付き合いたくないと思うはず。
 余談になるが、もう20年近く前になるだろうか、知人の紹介で、少し前に話題になった某生命保険会社の営業からセールスを受けたことがあった。彼は、白紙の紙に、こちらからヒアリングした内容をペンで書きながら、それを図にしていき、非常に論理的に説得力の高い営業をしていた。高額な保険料だなと思いはしたものの、その理路整然として話の展開がすばらしく、保険をこの会社に切り替えようかなと思った。でも、結局そうしなかった。なんとなく、彼のことが好きになれなかった。最近のニュースを見て、あらためてお客様のためよりも自分のためが強すぎる風土だったのだなと感じる。

 法人のお客様は、基本的には衝動買いをしない。「これかわいい!」と商品そのものを気に入って買うことも、ほとんどない。法人のお客様は、自分のビジネスにどう役立つか、という視点が購買の核になることが多い。だから、顧客の組織とビジネスをよく知り、何にどう貢献できるのかを考える必要がある。

 先ほど、ハイパフォーマーの人たちは、商品・サービス知識が営業をする上で最も重要と認識していない人がほとんど、と言った。しかし、一方で彼ら、彼女らと話していると、非常に商品・サービス知識に詳しい人も多いのは事実だ。それが最重要と認識し、日々を過ごしていないが、結果として詳しくなっている。なぜか?
 それは多分、お客様の組織がよくなるために、何をすべきかを日々考えていると、またはお客様と一緒に検討していると、今まで自分が知らなかった、取り組んだことのない領域にまで入らざるを得ないのだと思う。そして、そのことを調べる。詳しい人に接触する。詳しい人と一緒に取り組む。そうして、自分自身も詳しくなる。社内の他の人が知らないようなことにも詳しくなっていく。
 一方で、自分の知っている商品・サービスを売ろうとするための話ししかお客様のところでしなければ、商品・サービスの幅は何年経っても広がらない。
 そして自分が詳しくなくても、そのことをお客様と話してやり取りする、または関連する様々な人とやり取りをする、そのためには、コミュニケーションの力も欠かせない。

 そもそも、目指すべき方向が違うと、最終的に到達するところは大きく違ってしまう。研修で出会う、営業をやりだしたばかりの人、本当はやりたくなかったのに異動で営業になった人、そういった人に、私がある程度年月をかけて気づいたことを、早く気づいてほしいと願っている。私も、当初営業を好きではなかった。でも、今はやりがいのある仕事だと思っている。お客様に喜んでもらえることは、自己肯定感を高める。そんな連鎖ができるといい。特に、新しく営業を始めた人たち、頑張れ!

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