アルバート・アインシュタインが、彼の仕事のルールを語ったことがあった。
「1. 混乱から単純なものをみつけろ。2.不和から調和を見つけろ。3.困難の中に機会がある」
私は、この言葉が結構好きだ。というか、共感する。(アインシュタインの言葉として流布しているが、本当かどうか証明されていないみたい)
この数えきれない事象が複雑に絡み合っている現代社会の中で、日常の中で、我々は何らかのアクションをひとつずつしかとれない。残念ながら千手観音ではない。だから、最も大事なポイントが見えていた方がいい。そして、複雑な絡み合った糸やコードのようなものを解きほぐしていく。複雑に絡み合っていても、元はたった一本の糸だったりする。本質を掴むということ。
そして、不和の中から、矛盾の中から調和を見つけること。新たな発想によって、次元の違うのもを見いだせる可能性がある。
それを見つけられる人が、人と違ったことをやるのだと思う。だから、逆に言えば、いつもそういった意識でいるかどうかが、物事がよく見えるかどうかにつながっているのだと思う。そうありたいと願うが、これがなかなか難しい。だからこそ、困難の中に機会があるのだと思う。
私たちは、アインシュタインになろうと言う訳ではないかもしれない。でも、こういった発想・考え方は企業経営やマネジメントにもとても大切ではないかと思う。
ちょっと話は飛ぶかもしれないが、数学者の岡潔さんは、こんなことを言っていた。(意訳) 「知性は部分を扱う働きである。情緒は全体を一瞬でつかむ働きである。」私の勝手な数学者のイメージとは違い、彼は知性よりも情緒の大切さを訴えている。
アインシュタインの「1.混乱から単純なものをみつけろ。2.不和から調和を見つけろ。」というのはわかるが、簡単じゃない。どうすればいい?となると思う。そのヒントが、先ほどの岡潔の発想にあるような気がする。
荒っぽい言い方をすれば、ロジカルシンキングは「分解」と「整理」と「接合」がベースだという気がする。
でも、膨大な情報を分解し、一つ一つ見ていくのではない。まず大事なのは、全体を俯瞰すること。そして、直観的に「あれ?」と感じるものが大事。そして、この「あれ?」と感じることの前提には、その人の中の「情緒」が影響してくる。というようなことを岡潔さんは言っていると思う。
部分の集合体=全体とは限らない。部分だけ見ていても、見えないことがある。本質を捕まえるためには、全体をとらえる必要がある。全体(その膨大な何かがしかも複雑に絡み合っている)から、何かを抽出するためには、「あれ?」という「違和感」が、大きなヒントになる。その「あれ?」という「違和感」を生むのは、その人の「情緒」「情操」の面という考え方になると思う。
でも、なんでこんなこと?と思うかもしれないが、このところAIの進化やAI活用の拡大が非常にクローズアップされてきている。シンプルな作業は、RPAなどのロボットにすでに人はかなわない。一方で、経営やマネジメントの分野ではどうか?これも、膨大で、複雑な情報をスピーディーに扱うことにかけては、ある面、非常に力を発揮する。
ただし、私個人もAIを使いながら、時々「???」と思うことがある。そして、そのことをAIに聞くと、AIは丁寧に、「その通りです。よく気づきましたね」なんて返してくる。「オイオイ!」と突っ込みたくなる(笑) まだ、今のところ経営やマネジメントをAIにしてもらうのは難しそうな気がする。でも、すでに部分的には、人はAIに負けている。その中で、人としてAIを使う、または共存するうえで、大事なことのヒントが、先ほどの「情緒」にあるような気がする。
膨大な情報を前に、アインシュタインの言う「混乱から単純を見つけろ」的なことをAIに言えば出してくるかもしれない。でも、その時にこちらが「あれ?」と感じられるものを持っていなければ、本質をとらえることはできないと思う。
岡潔も、はっきりとハウツー的に、この「情操」をどう磨けばいいかは言っていないような気がする。でもヒント的には、自然に触れる、利他的な考え方、人の感情・機微を掴むというような感じのことを言っているように思う。ざっくりと言ってしまえば、人間力のようなものを高め、自分の心を落ち着かせることができ、そのレベルを上げていくことが必要なのだと思う。古今、名経営者というような人は、表現は違えど、似たようなことを言っている。松下幸之助、本田宗一郎、稲森和夫、、、そして渋沢栄一の「論語と算盤」、またスティーブジョブズの禅など、みんなそういったことの大切さを経験の中から感じていた証拠だという気がする。だからこそ、経営者の話の中には、必ず現場を見て、世の中を見て、「あれ?」と違和感を覚える場面があり、それが何か次の一手につながっているような気がする。
すぐにはできないし、すぐに得られるものではないが、認識し、目指すべきものだと思う。

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