今までのビジネス人生を振り返ってみると、自分なりに山あり谷ありだったと思う。快調に進んでいたこともあり、どん底だったこともあり、、、どちらかというと、マイナスだった時期の方が長い気はする。苦しんだことの方が多かったような。
でも、振り返ってみると、そんなに悪くなかったと思える。むしろ、恵まれていて、いいビジネス人生だったと感じる。(なんか、リタイアするような感じだが、そうじゃありません 笑)
新入社員の頃、私はコンサルタント会社の営業として働いていた。当時は、飛込み営業を中心にしながら来る日も来る日も開拓をしていた。
そんな中で、入社当初4月に5人いた営業所の営業担当が、12月には所長を含めて3名になってしまった(人事異動で他の拠点へ)。急遽中途で現地採用も行った。しかし、私は1年目とはいっても、それなりの成果を期待される状況になった。スキルがない中で成果を上げるために、所長はコンサルタントにセールスサポートを依頼した。私の力不足をカバーするために、仕事の予定が入っていない若手のコンサルタントが毎日のようにやってきた。3月に会社のトップが各地の企業向けに3日間の経営セミナーを行う予定だったので、新入社員はその集客活動がメインだった。そのセミナーは、愛媛県の松山での実施予定だった。私は営業所のある高松でなく、一人で松山に行き、ホテルに泊まりっきりで営業をし、土日に高松に戻るといった生活だった。所長と2つ上の先輩は、すでにお客さんを持っているが、私は一年目でお客さんをもっておらず日々飛込み営業だったので、いっそのこと松山に居続けた方がいいということになった。
それが、非常に苦しかった。新規でアポイントをとるのは簡単ではない。入っても1日1件かよくて2件。その他の時間は、コンサルタントに車で待っていてもらいながら、電話ボックスから、新規顧客へ電話(そのころ携帯電話はなかった 笑)、コンサルタントは東京から飛行機でわざわざ来ている、でも行くところがない、、、これが相当のプレッシャーだった。そして、あきらめて、「すいません、アポがとれないので、一緒に飛込みでお願いします」とコンサルタントに言い、一緒に飛込みをしてもらう。これは、更なるプレッシャーだった。それが連日続き、私のストレスは最高潮になっていった。
ある日、所長も松山に来て、松山のお客さんのところにセールスに行く日があった。私は、色々考えて、明日所長に「もう耐えられません、勘弁してください」と言おうと決めた。そして、同じホテルの朝食会場での朝食の時、向かいに座った所長が「今 大変だろうと思うけど、ここが頑張り時だから、頑張れ!ここを乗り越えさえすれば、他の同期よりも頭一つ抜け出すことができるから、大変なときは、すごいことをやろうとしなくても、何とかそれを乗り切りさえすれば、結果はついて来るから」と熱っぽく話した。私は、もう勘弁してくださいと言おうと思っていたが、飲み込んだ。言えなくなってしまった。所長は、多分、私の雰囲気や状況から、何か感じていて、機先を制し話したのかもしれない。
そして、私は、その大変なパターンを続けた。
結果、そのセミナーの集客で同期30数名の中でトップの集客成績になった。セミナー以外の売上数字も、上期は売上0円で最下位だったのが、1年間締めたら3位になっていた。
あの時、所長に言われた「苦しい時、頑張ってついていくだけで、乗り越えることができれば、気が付くと頭一つ抜き出ている」というのは、そうだと実感した。
苦しい状況だったからこそ、数多くのコンサルタントの営業サポートを受けられた。そして、それまで新入社員には、行かせてもらえなかった会社にも、コンサルタントと一緒なら行っていいということになり、機会が広がった。また、たくさんの人と同行するので、私はノートにそれぞれの人の「いいところ、真似をしたいところ」「ここは真似しない方がいいところ」を記録していった。いろんな情報や考え方や事例を学ぶ機会も得られた。これらが、その後に役立った。
私は、仕事でハイパフォーマーインタビューをすることがある。その時、興味があるので、「なぜあなたは、そういう発想をするようになったのですか?」「どこでそういったことを学んだんですか?」と聞いてみる。残念なことに、●●研修ですと回答する人はいない 笑。最も多い回答は、「(若いころ)苦労した体験から学んだ」「あの時は、わけのわからない困難なプロジェクトに入れられ、上司や顧客やベンダーに毎日怒られて過ごした。でもその経験が今に生きている」というものだ。まさに「経験から学ぶ」だ。
だからと言って、誰でも困難に向かわせろというつもりもない。一方で、大変な状況の中で脱落した人も数多く見てきた。中には、メンタルやられた感じの人もいた。単なる厳しさではなく、そこには周囲との信頼やサポート他も必要になってくる。そういったことなしに、大変な状況だけ作り出すのは危険すぎる。
しかし、ストレッチする経験は、その人の成長にとって大事だとも思う。
コメント