おもてなしを科学する

 2005年頃の何年間か、私の最も興味のある分野がサービスマネジメント・CS(カスタマー サティスファクション:顧客満足)だった。その何年か前から、CSがブームのようになり、各社こぞって取り組んでいた。経営のテーマにはブームのようなものがあり、それがクローズアップされると、どの企業でもそれに取り組む。一方で、きっかけとなった成功事例に企業と新しく取り組む企業は、様々な要件が同じではなく、どこでも同じようにうまくいくとは限らないというのが常だった。(今も?)

私は、たまたまその時いた組織のサービスマネジメント関係をテーマに扱うチームにいたこともあり、仕事としても行い、本も読み、新しいモデルやツールの開発も行っていった。核心的なことは何か?状況に応じて変える必要があることは何か?いろいろ考え調べた。

  • サービスビジネスとは何か?製造業とは何が違う?サービス要素が全くないビジネスってある?人―人/人―モノ/モノ-人/モノ-モノによる違い?それらにサービスの特徴はどう活かされるか?
  • サービスマーケティングがベースにある。それが異なると、あらゆることが変わってくる。例えば、ターゲット顧客、提供価値、もろもろの提供方法
  • 価値観、モノの見方、考え方の変革に他ならない。従って、それは、トップから現場第一線、そしてバックヤード部隊まで、全てが同じ顧客指向の考え方になる必要がある。これが定着すると、風土・文化、行動・思考パターンにつながる。
  • マネジメントの在り方・考え方も当然変わる必要がある。逆さまのピラミッドに代表されるような支援的リーダーシップが求められる。そういった意味で分権化は必要。一方で各現場(接点)がブラントへの期待を超えなければならないため、統合や集約も必要となり、その匙加減も必要となる

 というように様々なことを考える必要がある中で、標準化と職人技、サイエンスとアートのようなものをどうするかという問題があった。サイエンスやアートを突き詰める組織もある。一方でその中で差異化を図ろうと、サイエンスをテコに標準化を進めていきながらもアートの要素を取り入れる。また、アートの世界の中で標準化を図ろうとする企業が、数は少ないながら存在したのも事実。しかし、なかなかこれと言った成功例は少ないのではないかと思う。

 先日、スーパーホテルの代表取締役社長の山本健策様、執行役員 経営品質本部長の星山英子様の話を聞く機会があった。(スーパーホテルは、JDパワー社による満足度調査 エコノミーホテル部門で11年連続 総合満足度No1になっている)スーパーホテルは、この一見矛盾する2つのこと(二兎を追う)の成功例のような気がした。詳細は、私が語るよりも出版されている書籍等に譲るが、以下のようなことを強く感じた。

  • 経営陣による理念への強い思い・・・浸透への取り組み
  • 感謝の心の伝播(社内で顧客へ)
  • 合理的・論理的思考
  • QCサークル的な現場主体の改善活動
  • ブルーオーシャン的な発想(投入のメリハリ)
  • 人財育成へのこだわり、人を大切にする

 他にもいろいろあったが、私が最後にした質問への回答が、また良かった。「~~とかは、実際やろうと思うと、とても難しいです。何度も躓きました。簡単にはいきません。うちと似たようなことをしようと同じような仕組みを導入したところはありましたが、続かなかったみたいです。我々は、そういったことを乗り越えでやってきたので、今日のこういった結果があります。」(内容は正確ではありませんが、そういった意図の話しだった)
 以前、あるスーパーの労働組合のお客様と話をしているときに、こんな話があった。(その組織はとても業績がいい)「たぶん会社同士だと言いにくいのでしょう。組合仲間から今度お宅のスーパーの視察に行かせてもらえないか?と依頼が時々あるんです。そういったとき、組合同志は中がよくても、同業者、いわゆる競合になりかねないですから、会社に相談します。そうすると、会社からはいつも『全部見せてあげたらいいよ。見たからできるってもんじゃないからね』という回答が返ってきます」今回の話もこれに似ていると思った。

 その会社が何をどうやっているかは、とても重要だ。でもどういった意識・考え方・思いでやっているかは、更に重要だと思う。それがなければ、成功はおぼつかない。一見矛盾するおもてなしを科学するということへのあくなき取り組み、できると信じて変えられることを変えていく終わりなき挑戦。信念、本気度、、、改めて、そういったことの大切さを感じた。

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