コンサルタント・研修講師の仕事をしている中で、個人的には、10~15年前位から、若いうちからキャリアについて考えることの重要性が、ますます増してきていると感じている。
AI、DX、ロボット、自動運転、グローバル化・・・世の中の動きは加速している。これだけ代替手段が進んでいく中で、労働力を提供すれば、仕事はあるという時代は確実に終わるのではと思われる、、、
ただ、人口減少の危機があるから、そこまで差し迫った問題になっていないが(まさに昨日、文部科学省と厚生労働省が、2024年春に卒業した大学生の4月1日時点の就職率が1997年の調査開始以来で過去最高と発表していた)。
多くの仕事で、その領域の中でのトップ層、または上位層は、生き残れると思うが、その領域に達しなければ、仕事がなくなっていく、または提供価値が少なくなる可能性は高い。どんな分野でも、その仕事の中でのトップ層になるためには、その領域に集中し、若いうちから研鑽していく必要がある。(典型的には、大谷翔平君、久保建英君・・・のように)
一方で、若いうちから、決め打ちするのも、ある意味リスクはある。そんなに簡単にはいかない。クランボルツ(キャリア論の教育心理学者)のプランドハプンスタンスセオリー「キャリアの8割は偶然の出来事で決まる」という考え方は、現実に近いように思う。多くの人は、最初からしっかりと目指す方向が定まっており、そこに突き進むというより、色々やりながら見出していくというパターンが多いと思う。
ただし、こういった環境の中で、トップ層でなければ生き残れないとすると、少し様相が変わってくるかもしれない。今までより、偶然性を低くし計画性を高めること(若い頃からキャリアに関してもっと考える)が大事になると思う。
そして、もう一つの考え方は、クランボルツも言っている、偶然の出来事を本人が主体的に活用し、キャリアアップする、ということ。それに磨きをかけることだ。偶然性からキャリアを見出し、そこを目指すときに、より視野を広く、柔軟性をもって、吸収力をもって、機敏な動きで臨む必要がある。
私の社会人生活における最初の上司は、ちょっとおもしろい人だった(ごめんなさい!)。会社の中では怖い、厳しい人という評判もあったが、私は怒られた記憶が全くない。
入社して、1週間もたたない頃だったと思うが、営業所に2人だけの時間があった。その上司は、私に言った。「座ったまま、体をまっすぐにして、顔だけ思いっきり右を向いてみろ。痛い、ここが限界というところまで」と言った。何のこと?と思いつつ、言われたとおりに体を正面に向け、顔だけ思いっきり右に回した。「どこまで見えた?見えたところを覚えておけ」「次は、反対に左に思いっきり顔を回せ」???それもやってみた。すると「もう一度、右に思いっきり回せ」なんだろう???と思いつつやった。上司は「どこまで見えた?」と聞いた。「さっきよりちょっと先の~~が見えました」と私が回答すると、ニヤッとしながら「そうだろう、、、」「例えば、自分の得意なこと、好きなこと、いつもやりなれていることがあるだろ。でも、一度、その反対のことを思いっきりやってみるんだ。そうすると、自分の得意なことが更にできるようになったりするんだ」という話をした。
私は、すぐに自分のことを言っているのだと思った。私は、その会社では、ちょっと変わっていたように思う。会社の体質?や中心で活躍する社員像と私とは、かけ離れた感じだった。それは、自覚していた。それは、周囲の認知にも(その後も)ずっとあったと思う。そうは言っていないのだが、その上司は「1回、自分のこだわりとか、価値観を置いておいて、ここの価値観にどっぷり浸かってやってみろ!それが、最終的には、おまえ自身の強みを活かすことにつながるんだから」と私に言っている気がした。その上司は、もしかしたら、この先、私が、葛藤を抱えたり、挫折したり、それを周囲のせいにしたり、または自分のせいにして卑下したり、とかがないようにと考えて、言ってくれたように思う。
私は、それを心に留め、その会社で頑張った。その後、もちろん色々なことはあったが、今の私を形成する上で、今のこのビジネスを行う上で、自分と違うタイプの組織に身を置いたことは非常に役に立っていると感謝している。(そのころから、変わっていない自分もいるが 笑)つまり、キャリア形成に役立っている。書ききれないほどの数々の大変なことも、それが身になっていると、今では前向きに受け止められていることがほとんどだ。(さすがに100%ではないが 笑)
悲観しすぎる必要はないと思うが、今の若い人の置かれている環境を考えると、先に述べた環境下で、様々な分野でトップ層になる必要があると思われるが、一方で人生100年時代では、ある仕事でトップクラスになったとしても、いずれにせよ、変化の中で次への対応が必要になってくるかもしれない。
前向きさも大事、人との関係(支え、支えられる)、考える力、異なるものを受け入れる力、、、色々なことがますます重要になってくると思う。
最近、若い人の研修をやっていると、ついついそんなことを考えてしまい、研修の主要テーマでなくても、ちらちらっとそんなメッセージをしている時がある。
頑張れ!若者!(おじさんか! 笑)
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